上越教育大学は修士課程を中心とした大学です。しかし、兵庫教育大学を中心とした博士課程に上越教育大学は所属し、私も所属しております。ここでは、博士という学位に関する情報を載せました。

 博士課程を希望される方、また、論文博士を希望される方は、全て熟読してください。

 最初に結論を述べますが、「修士課程で指導した経験がある現職者で、2年間、西川研究室を生き残れた人」のみを博士の学生として受け入れます。(理由は後述)

 博士という学位の意味を簡単に説明したいと思います。学者の世界(特に人文系)における博士という学位の意味は、ちょうど小中高校の教師における専修免許状に対応します。以下が、似ている点です。(以下、罰当たりな書き方かもしれませんが、部外者に分かっていただくための「方便」とご理解下さい。)
1.なくても職に就ける
 専修免許状が無くても、1種、2種免許があれば教師になれます。少なくとも人文系の場合、博士の学位が無くても、修士の学位があれば研究者になることが可能です。
2.職に就かなければ役に立たない
 専修免許状を持っていても、教師として採用されなければ、その免許状を持つメリットはあまりありません。同様に、研究者でなければ博士という学位を持っていてもメリットはあまりありません。
3.でも無いと不便
 以上のように書くと専修免許状のメリットが全くないように思えますが、そうではありません。例えば、教師の場合も、管理職になるために専修免許状が求められることがあります。大学の場合も、博士課程の指導教官(○合資格)になるためには、博士が求められる場合があります。その他、大学において対外的に看板となる立場になる場合、博士号を持つことが求められることがあります。 

 博士の学位を取得する方法は、課程博士と論文博士があります。前者は、3年間の就学を行い、必要な単位を取得し、博士論文を作成し学位を取るという正規の方法です。ただし、小学校、中学校のように、毎日毎日、学校に来なければならないと言うわけではありません。かなりの自由度があります。それゆえ、現職の先生が、勤めたまま入学し、修了されることは可能ですし、事実、何人も学位を取得しています。もう一つの方法は、論文博士です。この方法の場合は、就学をせず、論文を提出して認定を受ける方法です。不謹慎な例えとは思われますが、運転免許状を教習所に行って取るのと、一発検定で受けて取るのとがありますが、 それぞれは課程博士と論文博士に対応します。
 二つを比較すると、課程博士は指導を受けて博士論文を作成するのに対して、論文博士の場合は、基本的な部分は既に自身で出来る人の論文作成をする方法です。前者の場合は、3カ年の年数と、その期間の学費が必要です。後者の場合、 『完成した論文』があるならば、おおよそ1年程度で取得出来、学費は必要ありません(ただし、認定料は必要です)。 しかし、求められるハードルは論文博士の方が厳しいのが通例です。
 しかし、いずれの場合も、博士課程の指導教員(○合資格)を持った教員が受け入れなければなりません。大学の学部は、大学の行う試験に合格すれば、教官は大学が準備しており、学生さんは、その教員の中から選べばいいです。大学院の修士課程の場合も、修士課程で終わることを前提とした修士課程の場合は学部と同様です。しかし、博士課程、または、博士課程進学を前提とした修士課程の場合は全く違います。それらでは、指導する教員がいて初めて入学が可能となります。もし、指導する教員がいない場合、試験で100点満点を取っても入学することは出来ません。

 課程博士、論文博士のそれぞれに関して、満たさなければならない最低基準は千差万別です。以下で述べるのは私が所属する組織における最低基準です。
 課程博士の場合は、在学中の3カ年の中で2つのレフリー付き学術論文の業績があれば博士の学位を取得出来ます。論文の場合は、博士論文に直接関わるレフリー付き学術論文を5つ以上で、そのうち2つは5年以内(実質は3年以内)の業績があることが最低条件です。ただし、この5つというのは最低基準であって、実際は10弱が必要となります。ちなみに私は論文博士で学位を取りましたが、「巨視的時間の距離感形成に関する研究」という博士論文に直接関係するレフリー付き 学術論文として35があり、うち14が5カ年(実質3カ年)の業績でした。以上が基礎資格であり、これが成り立たなければ話になりません。

 私が博士課程の学生さんを取る基準は、「数十万のお金と、数十日の時間と、下げなくても良い頭を下げる」のが嫌じゃない人ということになります。
 具体的には、「修士課程で指導した経験がある現職者で、2年間、西川研究室を生き残れた人」です。そもそも、そのような人を博士課程で指導したいと思ったからこそ○合の資格を得ました。今まで修士課程で指導した現職者は、いずれも尊敬できる人ばかりです。また、教育研究を職としたことを誇りに感じさせ、感激の涙を流させるような研究をやってくれた方ばかりです。そのような方の研究を発展させるためであるならば、「数十万のお金と、数十日の時間と、下げなくても良い頭を下げる」ことは嫌ではありません。
 次は、「義理と人情のしがらみがあり断れず、実績において研究能力を証明出来(つまりレフリー付き学術論文を書いたことがある人)、私と仲良くできる現職者」です。不義理の私が「義理と人情」で断り切れない人なんて、この世の中で殆どいません(その内のお二人はご自身で学位を出せる人です)。ということで、このような条件を満たす方は殆どいません。
 次は、「既に研究者として十二分な活躍をしており、博士の学位を取ることによって我が国の教育研究が発展させることが出来る人で、人物的に保証する人がいる人」です。ただし、世の中には、「俺は既に研究者として十二分な活躍をしており、博士の学位を取ることによって我が国の教育研究が発展 させることが出来る人」であると勝手に思いこんでいる人はいます。客観的な基準をあげれば、レフリー付き論文を20弱ある人というのが一つの基準となるでしょう。かつ、学会においてそれなりの地位を持つ人が人物的に保証する場合が上記に当たります。ただし、そのような方の場合、既に学位をお持ち か、私以外の方が担当する方が適切の場合が殆どです。したがって、このような条件を満たす人はまずいないでしょう。ちなみに、私が兵庫教育大学で学位を取得した最大の理由は、出身大学である筑波大学の理科教育において、私の専門とする認知研究で博士を出せる人がいないという特殊事情に基づくものです。
 上記以外の方の場合、とりあえず修士課程の2年間で見させていただいて、ということになります。

 なお、西川研究室出身者でも定職を持たない方はお受けいたしません。ましてや、それ以外の場合は、どんな条件があってもお断りします。つまり、どんな義理ある方から頼まれても、また、山ほど論文を持っていたとしてもです。休職のような一時的なものもお断りします (3年間の休職で2千万以上の遺失利益が生じます)。理由は、今までに何人も悲惨な博士課程の出身者を見ていますので。それに、人の人生を背負えるだけの器量は私にはありません。

 今までに、いきなり資料の山を送りつけ、「博士の学位を取りたい」と書いた手紙が同封されていたという信じがたい経験を複数回あります。多少の面識がある人からも含めると、少なからずあります。しかし、多くの人の場合、博士の学位というものに関して全く無知で、運転免許状や大学卒業の延長上にあると想像している方です。また、受ける側が「数十万のお金と、数十日の時間と、下げなくても良い頭を下げる」という負担があることを理解されておられないようです。
 このような笑い話(?)を読んだことがあります。『ある金持ちが、大富豪に、「あなたの持っている様なヨットを買いたいのですが、いくらぐらいですか?」と聞いたそうです。大富豪は、「値段を聞くうちは、それを買う資格はないよ」と答えたそうです。』
 博士の学位も同じようなものです。見ず知らずの人(もしくは知人レベルの人)に「どのようにしたら学位をとれるか?」と質問しているうちは、その学位を取る資格はないと思います。それが既に分かっている人が学位を取れる人です。もし、それが分からないならば、分かった人と研究を共にし、苦労を分かち合 う過程で、それが分かるはずです。

入学希望(時期未定)

 「私が博士の学生を取る規準」を満たした方から、入学希望があった場合、それを受け入れます。しかし、その場合は以下のことを忘れずにお願いします。
 1)入学後、ましてや進路に関して私は何も約束出来ません。
 2)西川研究室のハードさはよくお分かりのことと思いますが、一層期待します。職場の忙しさは十分分かっていますが、その理由を乱発しないでください。忙しさの中でも、私の期待に応えられる方が入学を希望してください。
 3)合否は水ものです。合格する場合もありますし、合格出来ない場合もあります。仮に合格出来なかったとしても、論文博士で学位を取る決意を持ってください。合格出来なければ、「や~めた」レベルの方は困ります。
 4)基本的に、一学年あたり一人しか博士課程の学生を受け入れることが出来ません。私は、希望表明の順序で受け入れます。ある方が希望するということは、別の方の希望を叶えられないということです。従って、一度希望表明したのにもかかわらず、途中でやめたということは困ります。その様な方は希望しないでください。

入学試験(博士0年度 2月)

 入学試験は専門、外国語、面接の3種類です。受験対策に関しては、私以上に先輩諸氏に受験対策を聞いてください。

入学(博士1年 4月)

 入学式があり、その後、膨大な書類書きがあります。

集中講義・課題研究指導・学会発表(博士1年 夏休み)

 集中講義及び課題研究指導を他大学の先生に来て頂いて、夏休み期間に行います。概ね30分程度のプレゼント、レジュメを用意してください。
 併せて、兵庫教育大学で開催される必修の集中講義があります。
 また、理科教育学会、科学教育学会、学校教育学会の全国大会があります。そこで学会発表をします。

学会発表(博士1年 秋)

 教科教育学会の学会発表をします。

課題研究指導・学会発表(博士1年 冬休み)

  課題研究指導を他大学の先生に来て頂いて、冬休み期間に行います。例年、年始の臨床教科教育学会の時期に行います。概ね30分程度のプレゼント、レジュメを用意してください。
 臨床教科教育学会の学会発表をします。

履修登録(博士2年 4月)

 博士1年の4月に書いた書類とほぼ同じものを提出します。

課題研究指導・学会発表(博士2年 夏休み)

 課題研究指導を他大学の先生に来て頂いて、夏休み期間に行います。概ね30分程度のプレゼント、レジュメを用意してください。
 また、理科教育学会、科学教育学会、学校教育学会の全国大会があります。そこで学会発表をします。

学会発表(博士2年 秋)

 教科教育学会の学会発表をします。 

博士候補認定試験願い(博士2年 11月)

 博士候補認定試験とは、博士論文提出の半年以上前に受けなければなりません。これを受けるためには、最低レフリー付き論文を1報以上なければなりません。そのため、通例、冬休みの課題研究指導の際に行います。試験は、指導教官、副指導教官二人の他に、推薦教員一人で計4人で行います。概ね30分程度のプレゼント、レジュメを用意してください。試験実施の1ヶ月弱前の代議員会に実施願いを出さなければなりません。代議員会の10日ほど前までに、 博士候補認定試験の願い、概要、資料(具体的にはレフリー付き論文の別づり)を連合大学院事務に送らなければなりません。併せて、試験官の方に、概要と、資料を送らなければなりません。
 連合大学院のHPにある候補認定試験の様式を基に作成したものと、概要を私の方に送って下さい。私の方でチェックし、連合大学院事務に提出します。同時に、試験願いと概要を試験官に送付します。各自は、連合大学院事務と私の他の試験官にに資料1部を送って下さい。

博士候補認定試験、課題研究指導・学会発表(博士2年 冬休み)

 課題研究指導を他大学の先生に来て頂いて、冬休み期間に行います。例年、年始の臨床教科教育学会の時期に行います。併せて博士候補認定試験を行います。概ね30分程度のプレゼント、レジュメを用意してください。
 臨床教科教育学会の学会発表をします。

履修登録(博士3年 4月)

 博士1年の4月に書いた書類とほぼ同じものを提出します。

課題研究指導・学会発表(博士3年 夏休み)

 課題研究指導を他大学の先生に来て頂いて、夏休み期間に行います。概ね30分程度のプレゼント、レジュメを用意してください。
 また、理科教育学会、科学教育学会、学校教育学会の全国大会があります。そこで学会発表をします。

学会発表(博士3年 秋)

 教科教育学会の学会発表をします。

論文完成

 11月中をめどに学位論文を作成します。論文提出期限は1月初旬ですが、推敲期間が必要です。

口頭試問・公聴会

 1月~2月中に口頭試問・公聴会を行います。

修了

 目出度く学位取得