大学教師には教職免許状はいりません。その代わり、大学院の授業を担当するには「合(ごう)」資格が必要ですし、大学院生を指導するためには「○合(まるごう)」資格が必要です。 この資格は、主にレフリー付き論文の業績等で審査が行われます。本学160人強の教官の中で 博士課程の○合資格をおもちな方はごく一部です。どの先生が○合であるかは、博士課程の資料に必ず載っています。

 ○合教官として一人の博士の院生を指導したり、論文博士の審査を請け負うというには大変な負担がかかります。まず第一に、その学生を指導するという負担です。そして、その学生の副指導教官や審査委員の先生方との調整をしなければなりません。

 私の所属する博士課程は連合大学院のため、さらに大変です。何かある度に、遠方の大学に出張をしなければなりません。課程博士の場合は旅費の最低限は出ますが、出張すればそれ以上の出費になります。さらに、論文博士の場合は、そのような旅費すらも出ません。さらに、関係する先生をこちらによぶ場合は、それなりの接待をしなければなりませんし、そのお金は自腹になります。なによりも、ちょっとしたことで2泊3日の出張が必要となり、それが重なります。つまり、数十万のお金と、数十日の時間と、下げなくても良い頭を下げる、という負担があります。
 課程博士課程を指導すると、給料が2パーセント上がりますが、上記を考えると、総合的にはマイナスです。さらに、論文博士の場合は、その数パーセントもありません。